「硫黄島からの手紙」 戦争の不条理さを真摯に描いた
2011年8月15日 | カテゴリー:アクション映画 | コメント(0)
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あらすじ
太平洋戦争の末期、アメリカ軍は硫黄島を攻撃しようとしていた。硫黄島を占領すれば、日本本土を攻撃するための重要な拠点となるからだ。
一方、西郷(二宮和也)は硫黄島で海岸の塹壕掘りをしていた。彼の妻・花子は妊娠していた。
その花子に島から手紙を出す西郷。西郷は戦友が戦死して以来、投げやりになっていた。
硫黄島に指揮官として赴任したのは、栗林忠道(ただみち)中将。栗林(渡辺謙)はアメリカで勤務していたこともある、合理的な考えの持ち主だが、そのためにアメリカかぶれと揶揄されることもあった。
栗林は日本海軍連合艦隊がマリアナ沖で全滅したことを知り、愕然とする。日本は制海権も制空権も失い、硫黄島が完全に孤立してしまったからだ。
他の将校は海岸に防衛戦を張ってアメリカ軍を迎え撃つことを提案するが、栗林は島の内部にトンネルを掘り、そこで持久戦をする覚悟だった。
そして、いよいよアメリカ軍との死闘が始まった。
感想
クリント・イーストウッド監督が初の2部作として作った映画です。「父親たちの星条旗」がペアになっていますが、そちらはまだ見ていません。
太平洋戦争の実情と、そこに生きた兵士たちのドラマを描いた作品です。それだけに気軽に観られるものではありませんでしたが、非常に真面目に、丁寧に作られていた映画でした。
硫黄島を防衛するために栗林中将や兵士がトンネル作戦によってみごとに戦ったということは知っていましたが、映画ならではのビジュアルが伝わってきて、勉強にもなりました。
二宮和也や渡辺謙などの俳優の演技はとてもよかったです。中村獅童の古い精神主義を持った上官も、とてもリアルでした。
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印象的なシーン
硫黄島は川がないので、水の確保が非常に困るそうです。現在、硫黄島で戦死された日本兵の遺骨収集が行われていますが、そこでも水の確保に苦労されているそうです。
飲水がないということはほんとうに辛いでしょうね。そんな状況で戦った兵士に敬服します。
最初に島に米軍が空爆をしてきます。低空で迫ってくる戦闘機の迫力はすごかったです。そして機銃や爆撃。ほんとうに恐ろしいです。
日本軍は機関銃で対空砲火をしますが、あんなに速い戦闘機に立ち向かうのは非常に難しいだろうと思いました。
そして座ったまま亡くなっていた兵士の姿はショッキングでした。戦争の悲惨さをそのまま表現しているシーンでした。
西郷がトイレに溜まったものを外に捨てに行くと、沖に多数の軍艦が集結しているのが見えるシーンもぞっとしました。あれだけの戦力差があるのに立ち向かうのは、絶望的だったでしょう。
考えさせられる映画
序盤で、栗林が「大本営は国民だけでなく、軍人も騙すのか」ということを言います。都合の悪いことは伏せておいて自分たちに敗北必至なところを守らせるのですから、本当にひどい話です。
栗林中将は玉砕(あえて死ぬこと)はせず、生きて戦うように命じますが、それに逆らって上官が玉砕を命じるシーンがありました。
それぞれに家族や友人がいて、人どころか犬も殺したくない。そういう人たちが殺しあわなければいけなかったのです。
戦争の不条理さを考えされられる、秀作でした。なお、軽い暴力表現があります。
評価:3.5点(5点満点)
「硫黄島からの手紙」 ネタバレ有りレビュー
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