紅の豚
2011年5月17日 | カテゴリー:アニメ映画 | コメント(0)
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イタリアを舞台に、呪いによって豚になってしまった飛行機乗りの生き様を描いた作品。
地中海を我が物顔で飛び回る空中海賊。彼らは空賊と呼ばれていた。
その空賊を退治しては賞金を稼ぐ男、ポルコ・ロッソ。彼は真っ赤なプロペラ機を自由に駈り、空賊たちから恐れられていた。
ポルコは呪いによって豚の姿になってしまったのだった。
ポルコはホテル・アドリアーナの歌手、マダム・ジーナと知り合いだ。ジーナは空賊たちにも大人気で、空賊の用心棒をするアメリカ人、カーチスもジーナとの結婚を夢見ていた。
カーチスは自分の名を上げるために、ポルコを倒すことを狙っている。ポルコは、調子の悪い愛機を直すためにミラノまで飛ぶが、運悪くそこをカーチスに撃墜されてしまう。
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○感想・レビュー
宮崎駿監督のアニメ映画です。つらい過去を背負いつつ独り大空に飛ぶ男のロマンあふれる生き方を描いた、どちらかというと大人向けの渋い作品です。
ポルコの声を担当しているのは森山周一郎さん。とてもかっこいい声がぴったり合っています。
「飛ばねえ豚はただの豚だ」という名台詞が話題になりました。
ポルコがアジトにしているのはとても美しい孤島。コバルトブルーの海が輝く隠し入り江は私もアジトにしたい場所です。
この「紅の豚」では、スタジオジブリの作品の特徴である美しいアニメーションを堪能できます。地中海の島の景色や空に浮かぶ雲などを見ているだけで楽しくなります。
○気に入ったシーンなど
それでは私の気に入った場面などをご紹介します。
マンマユート団が子どもたちを人質にとる場面。飛行機内で子どもが遊びまわるシーンはとてもユーモラスでした。マンマユートの空賊たちも根はいい人たちなのです。
本作品のヒロイン、マダム・ジーナは歌手の加藤登紀子さんが演じていらっしゃいます。声質などぴったりでしたが、やはり演技という面では本職の声優さんのほうがよかったかな、と思ってしまいます。
ジーナは飛行機乗りと3回結婚し、みんな死んでしまったという悲しい境遇にあります。そのジーナの身を密かに案じるポルコがいいです。
ポルコが銀行に札束をたくさん預ける場面では、私もあんなに札束を積んでみたいと思いました。ただ、インフレという設定です。
ポルコがミラノに向けて飛ぶ場面で、雲間から日が差す光景は感動的でした。
ミラノではピッコロじいさんの工房で飛行機を直してもらうのですが、そこに登場するのが孫のフィオ。フィオはしっかりした娘なのですが、ポルコに惚れてしまうのです。男のロマンですね。
名前ははっきり分かりませんでしたが、ポルコの元戦友の少佐もいい味を出していました。空軍にもどれ、という少佐にポルコは「ファシストになるより豚のほうがましだ」という台詞を言います。
ピッコロの工場から急いでポルコとフィオが飛行機で脱出するシーンは迫力満点でした。川の上を疾走するスピード感、そして橋の間をくぐりぬけるスリルが楽しかったです。
やはりああいうシーンこそアニメーションの醍醐味ですね。
ポルコは昔は戦争の英雄でしたが、あることをきっかけに彼は軍隊を辞めたのです。その理由が明らかになるシーンはとても幻想的でしたが、悲しい光景でした。
そのことが、ポルコが飛行機を撃ち落しはするものの、殺すことはしないようになったことにつながっています。
終盤、ポルコの顔がすごいことになって思わず笑ってしまいました。
そしてラストはもっとはっきりした終わり方のほうがすっきりしたかもしれませんが、その後どうなったかを観客の想像にゆだねるこの終わり方こそ、余韻が残ってよかったと思います。
男のロマンと人生の楽しさ、そして悲哀を感じさせる、渋い映画でした。なかなか楽しめました。
評価: 3.5点(5点満点)
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