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「となりのトトロ」 森の中に住むお化けと子供たちのきずな

「となりのトトロ」 森の中に住むお化けと子供たちのきずな

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○あらすじ

田園風景の中を荷物を高く積んで走るレトロなトラック。草壁サツキとメイの姉妹、そして彼女たちの父親が引っ越してきたのだ。

彼女たちの母親は、病気の療養のために大人の足で3時間はかかる「七国山病院」に入院している。母が退院することを考えて、草壁一家はここに移り住んだのだ。

小川にかかった小さな橋を渡り、木々のトンネルをくぐった先に、新しい家があった。木が腐ったりほこりやすすが積もっているが、庭が広く、緑豊かなところだ。

早速その庭を駆け回るサツキとメイ。メイは、森の頂上にそびえる立派な木を見つける。それは楠(くすの木)だと教える父。

となりに住むばあちゃんが引越しの手伝いに来てくれた。ばあちゃんの孫の勘太は、隣に越してきたサツキのことが気になる様子。

そして新居での生活が始まった。さっそく友達ができたサツキは小学校に通う。父は考古学者で、東京の大学が職場だ。

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メイはサツキのつくってくれたお弁当を持って、庭を探検する。そこでメイが見つけたのは、半透明で耳の生えた小さな生き物。その後をついていった彼女は、庭の茂みの中に木のトンネルを発見する。

二匹の生き物を追ってトンネルを抜けた先は、巨木の生える塚だった。その木のうろに入ったメイは、大きなお化け、トトロと出会った。


○感想・レビュー

宮崎駿脚本、監督の長編アニメーション映画です。無邪気な少女たちと、森に住む不思議なお化け、トトロとの交流を描いたこの作品は、私の一番好きな映画です。

なお、当初宮崎監督が「となりのトトロ」の構想を徳間書店にもちかけたところ、「所沢のお化けの話なんて地味すぎる」と反対されたそうです(読売新聞)。

しかし、この映画に登場する木や草の生い茂った田園風景や昔懐かしい家、人々の生活などは、日本の良さを見事に表現していると思います。

それでは気に入ったシーンなどをご紹介します。

まず冒頭。久石譲の名曲「さんぽ」にのって、メイが元気にお散歩をしています。その背景の右下にいるのはネコバスです。なんともいい顔をしています。

次に、サツキとメイの名前の由来ですが、5月を表す「さつき」と、その英語であるMayから来ているのだと思います。

宮崎駿さんの作品は、手に汗握る空中戦などが楽しめます。「風の谷のナウシカ」ならナウシカがメーヴェで空を駆け回りますし、「もののけ姫」ではアシタカが武士を相手に馬上から弓矢で戦うシーンがありました。

その点、この「となりのトトロ」では、冒頭の3輪トラックで走るところがスリル満点でした(笑)。お父さん、荷物積みすぎですよ! 起伏のある道もけっこうなスピードで走っているので、いつ転倒してしまうか気が気ではありません。

このお父さんは糸井重里さんが声優をされています。本作品はサツキが日高のり子さん(らんま1/2の天道あかねなど)、メイが坂本千夏さん(めぞん一刻の一の瀬賢太郎など)で、素晴らしい演技をされています。

一方、糸井さんは本業がコピーライターなので、お父さんの声も正直なところ上手ではありませんが、優しさのあふれるぴったりの声でした。

ちなみにお母さんはナウシカ役を好演された島本須美さんです。これもぴったりです。

ところで、当サイトでも何回か書いているのですが、やはり基本的に声優は本職の声優さんが演じるのがベストだと思います。

宮崎アニメもだんだんと声優さんでなく俳優さんを起用することが多くなりました。もちろんベテランの俳優さんはさすが自然な演技をされることが多いのですが、やはり若手の俳優の声は不自然さを感じてしまうことも少なくありません。

完ぺき主義の宮崎駿さんに、ぜひ主役は声優を起用されるようにお願いします。


○懐かしさあふれる美しい風景

さて、本作品は昔懐かしい風景を見ているだけで楽しめるのですが、トロリーバスも走っています。いいですねえ。

抜けるような青空、白い入道雲、庭のポンプ式の井戸など、「これぞ日本の風景」と言いたくなります。特に雲の美しさは宮崎アニメの特徴です。

新居でまっくろくろすけに遭遇するサツキたち。とてもかわいらしい風貌です。

2階への階段を発見したメイたちですが、あれを上るのはちょっと勇気が要りますね!

隣のおばあちゃん、またまたすごくいい味が出ているキャラです。風の谷のナウシカの「おばばさま」を思い出します。声優さんの演技が素晴らしい。

そしてそのばあちゃんのいきなりの登場に驚くメイがかわいかったです。

洗濯が終わり、母のお見舞いにいく草壁一家。自転車に乗り、小川の上に架かった木の橋を渡り、峠道も越えていきます。とても楽しそうです。

お母さんがいないので、みんなの弁当を作ってあげるサツキ。すごくしっかりしていますね。けれど、それだけにお母さんはサツキのことを心配しているのです。

お父さんは考古学者のようです。仕事部屋の机の上に積まれた本の量がすごいです。

庭の池でおたまじゃくしを見つけたメイ。「おじゃまたくし」と呼んでいます。この風景も水中の絵がとてもきれいです。

透明なトトロが逃げ込んだ床下に転がっているラムネのビンもリアルに描かれていました。

大きなトトロにメイが出会ったうろの中は、蝶が飛び、緑豊かで神秘的な空間です。私もあんなところに住んでみたいです。

そしてそこで寝ているトトロのしっぽがかわいいです。メイに名前を聞かれて応えるトトロの口が迫力満点なのですが、それに負けないメイもすごいですね。

目が覚めたときには茂みの中で寝ていたメイ。自分は嘘をついていないと、茂みの道を戻ったメイがすぐ横から飛び出してくるシーンは何度見ても楽しいです。

お父さんが大学へ行き、ばあちゃんに預けられたメイですが、結局サツキの小学校に来てしまいます。机の真ん中に座ったメイの笑顔がなんともいえません。

その帰り、どしゃぶりになってしまうのですが、その描写がまたみごと。お地蔵さんの上に降る雨が白くなるところなど、とてもリアルです。

そこで雨宿りするサツキたちに傘を貸してあげるカンタ。いい奴です。でも傘が穴だらけなのがさらにいいです。

そのカンタが傘なしで帰ってきたので、「ちょっとはきれいになるでしょ」と言い放つカンタの母。名言です。


○バス停の雰囲気が最高

大学から帰ってくるお父さんを迎えに、「稲荷前」というバス停に行くサツキとメイですが、このバス停は暗くて寂しくて、すごく雰囲気があります。

そしてお稲荷さんのほこらというかお堂もとても不気味です。メイがいやがるのもよく分かります(笑)。

そこに現れたのがなんと大きなトトロ。傘のつもりなのか、頭に葉っぱを乗っけているのがとてもユーモラスです。でも、しっかり頭は濡れています。

サツキに貸してもらった傘を差すトトロ。傘に落ちる雨音にびっくりして目が大きくなるシーンはとても楽しいです。

そして、トトロが叫ぶと、バスが来ます。ところがそのバスは、なんとネコバスです。ドアがにゅーっと開く様子が素敵です。そして笑ったままバスに乗るトトロの顔がいいです。

そして高速で走り去るネコバスですが、ヘッドライトがサーチライトのように夜空を照らすのがかっこいいです。

蚊帳を吊ってサツキたちが寝る夏の夜。流れる雲などの色彩がとてもリアルで、見入ってしまいます。

電報を受け取ったサツキたちをメイがとうもろこし(彼女いわく、とうもころし)を抱えて追います。その場所が生垣が多くてまさに迷路のようです。メイが迷ってしまわないか、気が気ではありません。

夕焼けに赤く染まる雲がとても美しく、また寂しいです。

ネコバスの行き先表示の「院」の字が逆さまになっています。


○作品全体の感想

さて、作品全体の感想ですが、本当に心から楽しめる作品です。メイの生き生きとして無邪気な姿には、元気が出ます。

また、作中に登場する懐かしい日本の風景はどれも美しいです。メイを探してサツキが登った家の裏手の高台からの景色や、庭に生えた草が日に照らされている様子など、まるで写真のようです。

こうした風景を見ているだけで楽しめるのがすごいです。

トトロたちもかわいくて、彼らを見ているだけで飽きません。庭の木が急速に伸びていく様子など、まさにアニメーションの真骨頂です。

ストーリーは、終盤にどきどきされられますが、エンディングもとてもよかったです。

物語も、アニメも、キャラクターも、声優も、すべてが素晴らしい作品です。なによりも、理屈ぬきにとにかく「楽しい」映画です。

私はこの「となりのトトロ」を観るたびに、心が洗われる気がします。ぜひともおすすめの傑作です。
評価:  5点(5点満点)

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