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龍馬伝の総評

龍馬伝の総評

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先日完結したNHK大河ドラマ「龍馬伝」。私は全話を見ましたので、作品全体の感想を書いてみます。

まずビジュアル面についてですが、これはかなり力が入っていると感じました。

龍馬伝では、建物を天井のないセットではなく、屋根まであるものを作り、自然の光を効果的に使っていました。そのため、臨場感のある映像を楽しむことができました。

また、48回で岩崎弥太郎が刺客たちに雨の中で追われるシーンなど、まるでその場で見ているかのようなリアルさを感じました。

電柱などが出てこない昔の風景が好きな私としては、映像だけでもとても楽しめました。


演技が素晴らしい

次に俳優陣の演技ですが、これもよかったです。主演の福山雅治、弥太郎役の香川照之など、熱演を堪能しました。弥次郎役の蟹江敬三などもすごくよい味を出していました。

ただ、演技は素晴らしかったのですが、その基となる脚本、演出については疑問を感じるところも残念ながら多かったです。

一言で申しますと、「大げさすぎる」「力が入りすぎている」感じでした。ドラマですから多少の誇張は演出として必要かもしれません。しかし、全編を通じて大げさなシーンが多かったので、観ているこちらが疲れてしまう感じでした。

演出は静と動があってこそ、盛り上がる動のシーンが生かされると思うのですが、いつも動ばかりの演出という印象でした。

例えば、龍馬がグラバーに面会を求めるシーンでは、パーティーが行われている中を龍馬が騒ぎながらグラバーの方に向かっていきます。

しかし、秘密の商談をするのに、わざわざパーティー会場で騒ぐ必要はないでしょう。

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人物の描き方

そもそも私は坂本龍馬という人物は、なすべきことをしつつも淡々とした人物だったというイメージを持っています。しかし、今回の龍馬はいつも熱く語っています。そこに違和感を覚えました

また、武市半平太を救うべく龍馬が土佐に潜入して、後藤象二郎と対決するシーンや、龍馬と新選組の近藤勇が宿屋で顔を合わせるシーンなども、現実味が乏しいと思いました。

龍馬とお龍が鹿児島に新婚旅行に行くシーンでも、天の逆鉾を引きぬくシーンがありました。

それは龍馬の手紙に書かれているので史実ですが、わざとらしい効果音が入ってようやく引き抜いたあと、お龍にこれからの日本について熱く語るというところは、やはり大げさでした。

次に、人物像についても、誇張されすぎだと感じることが多かったです。山内容堂がお酒好きだったのは本当ですが、部下をしょっちゅう蹴飛ばしていたのは本当なんでしょうか。

徳川慶喜も、眉毛が薄くていかにも強面という俳優さんでしたが、実際の慶喜の写真とは似ても似つかないように見えます。私は慶喜公は頭脳明晰でしたが、鳥羽伏見の戦いのように決断力に欠けるお殿様だったというイメージを持っています。

その点、龍馬伝での慶喜はいつも怖い顔をして、怒り、怒鳴り散らすというキャラクターでした。

大久保利通もいつも何かを企んでいるような顔をしていましたが、そのように見えないように思わせながら、裏では企んでいるというような人物の深みを感じませんでした。


善悪

龍馬伝では龍馬とその味方は善、対する者は悪役というように描かれています。新選組などもそうです。

しかし、幕末は開国、尊皇攘夷などいろいろな価値観があり、それぞれが自分たちの正義を信じて行動したところに面白さがあります。片方が悪役という扱い方にはへきえきします。

新選組についてですが、私は新選組が好きなので、彼らがあまりに弱く描かれているのに苦笑してしまいました。龍馬は平和主義者という設定のせいか、新選組や奉行所の役人に襲われても一度も剣を抜きませんでした。

それなのに、新選組は刀を抜かない龍馬にいつもやられてしまうのです。しかし、新選組は精鋭ぞろいの集団です。刀を抜かない相手に負けるはずがありませんし、龍馬も強敵に襲われれば刀で立ち向かったはずです。

そのため、ここでもリアリティーに欠けると感じました。そもそも新選組の沖田総司の三段突きは誰でもよけることができないだろうと言われていましたし、近藤勇たちの剣法である「天然理心流」は相手のすねを斬っていくというものです。

刀を抜かずに逃げられるとは思いません。寺田屋で龍馬が奉行所に襲われた時も、史実ではピストルを撃った後、すぐに屋根から逃げたことになっています。しかし、龍馬伝では大勢の役人相手に大見得を切っていました。

龍馬伝はお芝居ですから多少の誇張はありだと思います。しかし、あまりに誇張するとわざとらしくなって、しらけてしまいます。

岩崎弥太郎も極貧の出で、コンプレックスから性格がゆがんでしまったという分かりやすい人物設定になっています。

しかし、実在の彼の実家はあんなにぼろくありません(笑)。こうしてみると、いろいろな点が誇張されて大げさすぎると感じてしまうのです。

龍馬の最期も、「俺は脳をやられたからもういかん」という実際の言葉は出てきませんでした。史実は史実として尊重すべきではないでしょうか。それにオリジナルのセリフを加えればよいと思うのです。

こうして書いてみると、辛口の批評になってしまったのが残念です。ただそれは、それだけ龍馬伝に期待していたからです。

カメラやセットに凝った映像、俳優たちの迫真の演技は素晴らしかったです。しかし、大げさすぎる脚本と演出が、作品の足を引っ張ってしまったように私には思えます。

坂本龍馬の一生はそれだけでダイナミックで、ドラマチックなものでした。そのため、もっと淡々とした作りのほうが、かえって彼の偉業を際だたせることができたのではないでしょうか。

もちろん楽しめる作品だったのですが、そこが残念でなりませんでした。5点満点の評価で言えば、私には3点でした。

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